保護司制度の改善と再犯防止に関して質疑~参議院 法務委員会~(例7年度予算案委嘱審査)
3月24日、参議院法務委員会において、令和7年度予算案等に関連して保護司制度の現状と課題、出所者の社会復帰支援などについて、法務大臣および政府参考人に対して質疑を行いました。

▪ 保護司の面談環境整備が急務
昨年、大津市で発生した事件をきっかけに、保護司の辞退や退任が相次ぎ、次世代の担い手不足が深刻化しています。有識者会議の報告書でも、自宅で面談を行うことへの不安が広がっていることが指摘されており、自宅以外の面談場所の確保の現状について鈴木法務大臣に問いました。
大臣は「自宅以外でどう面接場所をしっかりと確保していくのか、極めて大事な点である」と述べたうえで、「更生保護サポートセンターの保護区内での複数設置や、公共施設などを面接場所として利用できるよう、各自治体に協力を依頼している」また「令和7年度予算案においては、更生保護サポートセンターの機能強化等に約1億5,500万円、サテライト型センター設置に4,700万円、自宅以外の面接場所を確保するための賃借料に約800万円の増額を盛り込んでいる」と応じました。
この答弁を受けて、「更生保護サポートセンターは土日祝日に利用できない場合があり、保護司の約8割が『使い勝手が悪い』として利用していない。ボランティアである保護司は平日の勤務時間外に活動することが多く、実態に即した施設整備が求められる」と指摘しました。

▪ 自治体との連携強化を要望
地方自治体の中には、保護司の活動を積極的に支援している例もあります。例えば東京都大田区では、区内の庁舎や出先機関など約20か所の施設を保護司向けに無償で提供しており、多くの方が活用しています。
こうした取り組みを全国に広げていくためには、「協力要請を出すだけではなく、各自治体の対応状況をきちんと集約し、共有することが重要」と提言し、大臣の認識を確認しました。
大臣は「現状の把握を行ったうえで、総務省などと連携し、地方公共団体への働きかけを強化していきたい」と述べ、前向きな姿勢を示しました。

▪ 就労支援と再犯防止
刑務所出所者の社会復帰には、雇用と住居の確保が不可欠です。
令和7年度予算案では、50歳以上の出所者に対しても奨励金を加算する制度が新設され、従来の20歳未満に加え、就労支援を強化する対象が広がる見込みです。
刑務所再入者のうち、約7割が「再犯時に無職であった」とされています。就労支援は再犯防止における重要な施策であり、「就職が決まるまで継続的にフォローする仕組み」が整備されれば、より効果的な再犯防止策となると提言しました。

保護司制度の持続性や再犯防止に向けた支援体制の整備は、安全・安心な社会の実現に欠かせない重要な課題です。引き続き、制度の改善と実効性ある施策の推進に取り組んでまいります。