北朝鮮の戸籍システムの実態を参考人に尋ねる~参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会~
6月7日、北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会で、拉致被害者家族連絡会、特定失踪者家族会、南山大学教授の参考人から意見陳述をお聞きした後、質疑を行いました。
横田哲也参考人(拉致家族会事務局次長)へ「全拉致被害者の即時一括帰国」との活動方針を掲げているが、この場合の「全拉致被害者」とは誰を指すのかを伺いました。
横田参考人は「日本国政府自身が全拉致被害者の全容は多分分かっていない。分かっていないなかで何人をとも言えないことから、とにかく分かっているのは北朝鮮であり、わかっている全員を返しなさいと言っている」と語りました。
この見解に対し、どれだけの拉致被害者がいるか分からない状況のなかで「全拉致被害者の即時一括帰国」という主張をすることが、結果的に把握できたところから拉致被害者を救出して日本に取り返そうという動きにつながらず、ハードルが上がり過ぎて見通しが立たない状況をつくりだしてしまっているとの指摘があることを述べた上で、「拉致した皆さんを日本に返せ」という主張は当然されてしかるべきですが、そのことと同時に「救えるところからどう救っていくのか」との姿勢も必要だと思います。そうした背景があって、田中実さん、金田龍光さんのケースでも北朝鮮からの報告書の受け取りを拒むという話になってしまったのではないかと指摘しました。
平岩俊司参考人(南山大学教授)へ、「ろくに通信手段も持たないような極貧国で、戸籍システムが果たして機能しているのか、また人民のことをどの程度把握できているのか。さらに、日本が行っている独自の経済制裁がどの程度影響を及ぼしているのか」を伺いました。
平岩参考人は、戸籍システムについて「北朝鮮社会の分析は我々研究者の間でも極めて難しい。理由は北朝鮮に直接行くことにかなり制約があるためで、行ったとしても調査は難しい。今の北朝鮮社会の分析の主たる方法は、脱北して韓国に来た人たちの情報を前提にするのが主流かと思う」「戸籍システムそのものはちゃんとしていると思うが、監視できているかどうかについてはよく分からない。ただし、日本から拉致された方については、北朝鮮にとって最重要課題であることから、確かに小泉総理が訪朝されるまではいい加減だった部分もあるかと思うが、少なくともその時点では明確に把握していて、それ以後の動きについてもちゃんと把握していると思う」、経済制裁については「日本からぜいたく品のようなものが入ってこないことには一定程度効果があると思うが、北朝鮮の基本的な姿勢を大きく変えるほどの効果があるかと言われると、国際社会が協調して行わないと難しい」と述べました。
横田哲也参考人(拉致家族会事務局次長)へ「全拉致被害者の即時一括帰国」との活動方針を掲げているが、この場合の「全拉致被害者」とは誰を指すのかを伺いました。
横田参考人は「日本国政府自身が全拉致被害者の全容は多分分かっていない。分かっていないなかで何人をとも言えないことから、とにかく分かっているのは北朝鮮であり、わかっている全員を返しなさいと言っている」と語りました。
この見解に対し、どれだけの拉致被害者がいるか分からない状況のなかで「全拉致被害者の即時一括帰国」という主張をすることが、結果的に把握できたところから拉致被害者を救出して日本に取り返そうという動きにつながらず、ハードルが上がり過ぎて見通しが立たない状況をつくりだしてしまっているとの指摘があることを述べた上で、「拉致した皆さんを日本に返せ」という主張は当然されてしかるべきですが、そのことと同時に「救えるところからどう救っていくのか」との姿勢も必要だと思います。そうした背景があって、田中実さん、金田龍光さんのケースでも北朝鮮からの報告書の受け取りを拒むという話になってしまったのではないかと指摘しました。
平岩俊司参考人(南山大学教授)へ、「ろくに通信手段も持たないような極貧国で、戸籍システムが果たして機能しているのか、また人民のことをどの程度把握できているのか。さらに、日本が行っている独自の経済制裁がどの程度影響を及ぼしているのか」を伺いました。
平岩参考人は、戸籍システムについて「北朝鮮社会の分析は我々研究者の間でも極めて難しい。理由は北朝鮮に直接行くことにかなり制約があるためで、行ったとしても調査は難しい。今の北朝鮮社会の分析の主たる方法は、脱北して韓国に来た人たちの情報を前提にするのが主流かと思う」「戸籍システムそのものはちゃんとしていると思うが、監視できているかどうかについてはよく分からない。ただし、日本から拉致された方については、北朝鮮にとって最重要課題であることから、確かに小泉総理が訪朝されるまではいい加減だった部分もあるかと思うが、少なくともその時点では明確に把握していて、それ以後の動きについてもちゃんと把握していると思う」、経済制裁については「日本からぜいたく品のようなものが入ってこないことには一定程度効果があると思うが、北朝鮮の基本的な姿勢を大きく変えるほどの効果があるかと言われると、国際社会が協調して行わないと難しい」と述べました。