民事裁判情報の利活用の課題を問う~参議院法務委員会~
5月22日、参議院法務委員会において、「民事裁判情報の活用の促進に関する法律案」に関する質疑を行いました。
本法案は、民事裁判の判決情報をデータベース化し、指定法人が管理・提供することで、法律実務や研究、AI開発などに活用できるようにするものです。
質疑では、AIを活用した判決情報の分析を制度の目的とする以上、判決書だけでなく、訴訟過程で提出される主張書面や証拠資料もAIの学習素材として不可欠であると提言しました。終局判決に至るまでの事実経過や主張構造にこそ判断の背景が含まれており、AIに正確な学習をさせるためには、それらを含めた情報環境の整備が必要であると指摘しました。また、データベースの収録対象が令和4年以降の電子判決書に限定されている点についても問題を提起しました。紙媒体で保存されている過去の判決には、重要な先例や社会的意義のある内容が数多く含まれており、これらを除外したままではAIの判断に偏りが生じるおそれがあります。過去判例の電子化も視野に入れた対応を求め、大臣の認識を問いました。
法務大臣は、「AIによって様々付加価値を上げていくことが、これからの社会にとって必要であり、そのためにも網羅的でバイアスがない形のデータベースが極めて大事である」との考えを示したうえで、「予算的制約もある中で、どこまでできるのか現実的に見極める必要があるが、引き続き検討したい」と語りました。
さらに、今後AIに学習させる判決データの中には、時代背景に基づく社会的偏見や差別的判断が含まれる可能性があることを訴えました。元データの改変は前提とせず、時代に応じて分析結果をどのように評価・補整していくかという視点が欠かせないと提言したうえで、検討すべき課題が多岐にわたることを指摘しました。
※本法案は5月23日、国民民主党党務はじめ賛成多数で成立しました。
本法案は、民事裁判の判決情報をデータベース化し、指定法人が管理・提供することで、法律実務や研究、AI開発などに活用できるようにするものです。
質疑では、AIを活用した判決情報の分析を制度の目的とする以上、判決書だけでなく、訴訟過程で提出される主張書面や証拠資料もAIの学習素材として不可欠であると提言しました。終局判決に至るまでの事実経過や主張構造にこそ判断の背景が含まれており、AIに正確な学習をさせるためには、それらを含めた情報環境の整備が必要であると指摘しました。また、データベースの収録対象が令和4年以降の電子判決書に限定されている点についても問題を提起しました。紙媒体で保存されている過去の判決には、重要な先例や社会的意義のある内容が数多く含まれており、これらを除外したままではAIの判断に偏りが生じるおそれがあります。過去判例の電子化も視野に入れた対応を求め、大臣の認識を問いました。
法務大臣は、「AIによって様々付加価値を上げていくことが、これからの社会にとって必要であり、そのためにも網羅的でバイアスがない形のデータベースが極めて大事である」との考えを示したうえで、「予算的制約もある中で、どこまでできるのか現実的に見極める必要があるが、引き続き検討したい」と語りました。
さらに、今後AIに学習させる判決データの中には、時代背景に基づく社会的偏見や差別的判断が含まれる可能性があることを訴えました。元データの改変は前提とせず、時代に応じて分析結果をどのように評価・補整していくかという視点が欠かせないと提言したうえで、検討すべき課題が多岐にわたることを指摘しました。
※本法案は5月23日、国民民主党党務はじめ賛成多数で成立しました。