法務及び司法行政等に関する調査~参議院法務委員会~
5月19日、法務委員会で出入国在留管理法(以下:入管法)が日本国憲法を制限する内容となっていることについて、法務大臣の認識を問いました。
私は、日本人と外国人で当然有する権利に違いが生じることを認めている立場であり、無制限に外国人の権利が日本国内で認められることではないと考えている。
その上で、先例となっている1978年のいわゆるマクリーン事件判決を基準として、外国人の基本的人権を認めいない判断が繰り返されてきている。本来在留制度の趣旨は、日本国内での居住と労働の権利の制約を定めるものであるにもかかわらず、外国人には入管法の枠内でのみ憲法に定められた基本的人権が認められないことは、入管法が憲法を制限している運用となっていると指摘して、法務大臣の認識を問いました。
大臣は、「入管行政においては、いわゆるマクリーン事件最高裁判決が指摘する、憲法第3章の基本的人権の保障は、権利の性質上、日本国民のみをその対象と解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対してもひとしく及ぶものと解すべきとの点を重く受け止め、外国人の人権を最大限尊重していかなければならないと認識している。判決が、外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、外国人在留制度の枠内で与えられたに過ぎないということについては、外国人在留制度と憲法が定める基本的人権の保障との間で調整が必要になる場合には、外国人の基本的人権が一定程度制約される場合もあり得ると述べたものと受け止めており、入管法が憲法を制限している趣旨とは認識していない」と述べました。
 この答弁に対し、2014年に難民申請を不認定されたスリランカ人の男性が、入管側に認定を求める提訴を起こしたが、入管から弁護士と連絡が取れないと告げられ、その場で携帯電話を取り上げられ、翌日スリランカに送還された事例がある。この事例に対し、東京高裁が、この男性が裁判を起こすかどうかを検討する時間すら与えずに送還した入管の対応について、司法審査の機会を実質的に奪うことは許されないと判示している。憲法32条の「裁判を受ける権利」、13条の「個人の尊重」、31条の「適正手続きの保障」に反するものと判断しているということであり、憲法に定めた事項を逸脱した入管行政がなされている事実であることを訴えるとともに、いま外国人の人権の問題について様々な指摘がされている状況にある。今後、入管法自体の見直し等について議論がされるが、この人権の問題をどう扱うかが極めて大きな課題になることを指摘ました。

※マクリーン事件判決…1978年、米国籍を持つロナルド・アラン・マクレーンがベトナム戦争の反対のデモに参加するなどの政治活動の自由を訴えた行政訴訟を起こし、最高裁が
外国人に対する基本的人権の保障は在留制度の枠内で守られていると判示したもの。

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