裁判所の労働環境改善を求める~参議院法務委員会~
4月10日、参議院法務委員会において、「裁判所職員定員法の一部を改正する法律案」に関連し、裁判所職員の労働時間管理の実態と、それに基づく適正な人員配置の必要性について、最高裁および法務省の見解を求めました。
本法案は、家事事件(婚姻・離婚、相続など)への対応を充実・強化するため家庭裁判所調査官を5人増員し、また、事件処理支援体制の強化や国家公務員による「こどもの共育て推進」などの施策を進めるため、裁判所事務官を9人増員する一方、業務の合理化・効率化により技能労務職員などを61人減員し、結果として職員数全体では47人の減員とするものです。

2022年11月の法務委員会でも指摘したとおり、裁判所における労働時間管理への認識は依然として乏しく、サービス残業が常態化しているとの現場の声が絶えません。最高裁では本年度から裁判官以外の職員を対象に、勤務時間管理システムによる本格的な運用が始まりました。しかし、下級裁判所ではいまだに登庁簿による管理が中心であり、その実効性には疑問が残ります。

また、適正人員の算定方法について確認したところ、事件数や業務の複雑化を踏まえて対応しているとの説明にとどまり、業務量や労働時間の「定量的な把握」はなされていない実態が明らかとなりました。正確な労働時間の把握なくして、適正人員を論ずる土台すら築けないことを強く指摘しました。

さらに、裁判所職員のメンタルヘルス対策についても確認したところ、ストレスチェックやカウンセリング体制の整備が進められている一方で、ストレス状態に置かれている職員が多数いる状況にあることから、健康な精神が保たれなければ正しい判断は困難であると指摘したうえで、メンタルヘルス対策を一層進めていくよう求めました。

本法案は4月11日、参議院本会議において国民民主党をはじめ賛成多数で可決・成立しました。