電力総連・JEC連合・紙パ連合、GX推進法改正に関する要請書を国民民主党に提出~今後の法案審議に向けて~
3月14日、全国電力関連産業労働組合総連合会(電力総連)、日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合)、日本紙パルプ紙加工産業労働組合連合会(紙パ連合)の皆様より、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(GX推進法等)に対する要請書が国民民主党に提出されました。

要請の趣旨
気候変動問題の解決に向け、新技術やビジネスを活用し、カーボンニュートラル(CN)の実現と産業競争力の強化が進められている。しかし、ウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化、米国のトランプ政権発足などにより国際情勢が不安定化し、エネルギー問題への対応が求められている。
国内においても、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)による電力需要の増加、経済安全保障の観点からのサプライチェーンの再構築など、不確実性が高まっている。こうした状況を踏まえ、政府は2023年2月に「GX実現に向けた基本方針」を策定し、10年間で20兆円の先行投資を行い、官民で150兆円の投資を促す「成長志向型カーボンプライシング構想」を推進するとしている。
本年2月に示された「GX2040ビジョン」では、排出量取引制度の法定化や化石燃料賦課金の徴収措置を具体化し、新産業の創出と産業競争力の強化を目指している。
目標達成には、産業を支える「人」と、安定的かつ低廉なエネルギー供給の確保が不可欠である。GX推進法等の改正における論点について意見を示すので、これを参考にし、今後の法案審議を慎重に進めることを求める。
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具体的な意見
1. 成長志向型カーボンプライシング構想について
● 雇用への影響(公正な移行の観点)
➢ GX実現によるコスト負担の在り方
➢ 円滑かつ適正な価格転嫁を通じ、社会全体で公平・公正に負担を分担することが重要である。
➢ 国は、国民や事業者に対し、GX実現の意義や負担について積極的に周知し、理解の醸成を進めることが不可欠である。
● 関連制度(エネルギー関係諸税、通商ルール等)との整合性
➢ 現行の石油石炭税、地球温暖化対策税(温対税)、再生可能エネルギー賦課金との関係を整理し、化石燃料賦課金と排出量取引の調整措置を導入することが必要である。
➢ 省エネ法のベンチマーク指標や、高度化法の非化石証書取引制度など、趣旨が重複する制度についても見直しを求める。
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2. 排出量取引制度の法定化(第2フェーズ)について
● 目標設定の在り方
➢ 現場の実態を踏まえ、移行(トランジション)に必要な時間軸を考慮し、原燃料の転換、電化、脱炭素技術の開発・実装を促進する観点から、適切な目標水準を設定することを求める。
● 価格安定化措置
➢ 価格のボラティリティ(変動)を抑制し、投資の予見性を確保するため、取引価格の上限・下限を設定することを求める。
● 制度対象者の設定
➢ 代替技術の有無、雇用への影響、国際競争力、カーボンリーケージ(企業の海外流出)の可能性を総合的に勘案し、対象事業者の範囲を慎重に設定することを求める。