厚生労働省が2015年10月27日に公表した「人口減少社会に関する意識調査」のうち、出産・子育てに必要なことは?という問いに対する回答では、「安定した雇用と収入」が72.4%ともっとも多く、次いで「安心して保育サービスが利用できること」が47.4%、「安心して出産・小児医療の体制確保」が46.4%と答えています。

安倍政権は、新3本の矢で「子育て支援」を掲げています。子育て支援が大切な政策であることは言うまでもありませんが、残念ながら安倍政権は、子育て支援を掲げる一方で少子化対策と逆行する施策として雇用・労働法制に関して不安定雇用を助長するような労働法制の改悪を推し進めています。私はこれではアクセルとブレーキを同時に踏むようなものだと捉えています。

子育てを行う上で、私たちは経済的側面(給料の多寡)に目がいきがちですが、同時に雇用の質の向上も極めて重要です。いつクビになるのかわからないような不安定雇用では、結婚・出産に二の足を踏む若者が増えても当然です。本気で「希望する人が安心して結婚、出産できる社会」を実現するためには、表面的な子育て支援策だけでなく、安心して働き続けられる雇用・労働環境づくりをセットで推進することにより、若者が将来に対してビジョンを描ける良質な雇用を増やすことが、本当の意味での子育て支援だと私は考えています。