自公政権が圧勝した昨年末の解散総選挙ですが、実はこの時、安倍内閣は選挙戦で高齢者票を獲得するため、医療保険制度改革試案の公表を先延ばししました。なぜならこの医療保険制度改革試案には、後期高齢者医療制度の特例措置の見直しなど高齢者に負担増を求める内容が盛り込まれていたからです。

【変更点1】自己負担は1割から2割へ

現在は、介護保険サービスを利用者は、年収などにかかわらず1割を利用者が負担していますが、今回の法改正により2015年8月から年金収入280万円以上の利用者は、自己負担が2割となります。

【変更点2】自己負担限度額の引き上げ

2015年8月からは、これまで月3万7200円であった自己負担限度額に新たに所得区分が1つ加わり一定の所得以上の高齢者の上限額は引き上げられる予定です。

【変更点3】「要支援1・2」は予防給付の対象から除外

「要支援」を対象とする予防給付のうち訪問介護と通所介護については、保険本体から外して2015年4月から3年の移行期間をかけて市区町村に移されることになります。これまで全国一律だったサービスが、市区町村の財政状態や対応によってサービス内容や利用料に差が出る可能性が指摘されています。

【変更点4】特養への入所基準は要介護度3以上

現在、深刻な施設不足に陥っている特別養護老人ホームですが、このため2015年4月より入所条件が厳格化され、今後の新規入所は、要介護3以上の方に限定される予定です。但し要介護度が低くても認知症や精神障害、虐待など「やむをえない事情」に該当する場合は、新規入所できることになっています。

【変更点5】食費や部屋代の補助基準が厳格化

これまで低所得者には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設の食費や部屋代を軽減する仕組みがありましたが、これからは所得が低くても、預貯金が単身で1000万円、夫婦で2000万円超持つ場合は補助対象から外されます。また今まで収入に算入されていなかった遺族年金や障害年金についても法改正後は、収入とみなされることになりそうです。

以上が介護保険法改正の主なポイントです。

アベノミクスの下、使いきれないほどの建設関連予算をばらまく一方で介護保険は切り詰められようとしています。社会保障給付の持続性を高める、という消費増税の本来の目的が忘れ去られている現状に強い憤りと懸念を感じます。