景気を占う上で大切なことは、将来不安を取り除くことです。一見景気とは関わりがないように思えますが、実は景気を一番左右するのは財政・金融政策ではなく、消費者のマインド(気持ち)である、と私は考えています。

多少給料が増えたとしても、雇用や老後に不安を抱えている状況下では安心してお金を消費するわけにはいきません。貯蓄にまわってしまうでしょう。

安心してお金を消費にまわしてもらうためには、安定した雇用システムや年金・医療制度、つまり将来不安を取り除くことこそが必要となります。

安倍政権の成長戦略は、「企業が儲かれば給料が増える」式の考え方で組み立てられていますが、その方策として雇用の規制緩和を進めようとしています。いつクビになるかわからない不安定雇用を増やすことで企業が儲かる枠組みを作っても決して個人消費のアップには繋がりません。やはり安心して働き続けることの出来る雇用制度を拡充することこそが必要なのです。そして年金・医療・介護などの社会保障制度の持続可能性を高めることです。必要なときに必ず給付を受けられるどうかわからないような制度では、国民は安心してお金を使うことはできません。公共事業に大盤振る舞いする一方、医療や介護の給付カットを進めようとしている今の安倍政権の政策方針では、決して将来不安の払しょくはできません。

景気回復は、全ての国民の願いです。その実現に向けて安倍政権は企業・経済に主眼を置いた政策を推進していますが、ヒトと生活に主眼を置いた政策が忘れ去られています。

いまの政治に一番欠けているのは、国民・生活者目線の政治です。私たちは、真の意味での国民・生活者目線の政治を取り戻すため闘わなければなりません。