安倍政権は、仕事の内容、労働時間、勤務地などが限定された正社員制度(限定・ジョブ型正社員制度)を導入しようとしています。安定雇用を増やすための制度、との政府の説明を受けて無邪気なマスコミ等では、これを容認する論調も見受けられますが、この法律の狙いはそんなに甘いものではありません。
実は現行の法律でも、企業はこの限定正社員制度を導入できますし、実際に多くの企業で「地域限定社員制度」といった形で既に導入されています。にも関わらず、今更政府がこの制度を導入しようとしている真意は、従来の正社員を限定正社員に移行させることによって、正社員を解雇をしやすくすることにあります。例えば現在、ある企業の従業員が勤務する職場(店舗)が閉鎖される場合、その従業員は他の職場(店舗)に転勤することで雇用継続が図られますが、(その職場)限定の正社員化することで転勤させる必要がなくなります。 現在の解雇法制では、解雇にあたっては、「解雇4要件(※1)」を厳格に遵守することが求められています。そこで限定正社員化を促進することで、解雇に対する法律の厳格な運用の抜け道を作り、そこから解雇に対する規制緩和を行うのが狙いだと考えます。
(※1) 解雇4要件:「人員整理の必要性」「解雇回避努力義務の履行」
「被解雇者選定の合理性」、「解雇手続きの妥当性」