中立性を担保した「離婚後の養育計画の調査研究」を求める(共同親権および法定養育費の導入の向けた民法改正案)~参議院法務委員会~
5月16日、法務委員会で「離婚後の養育計画に関する調査研究」によって作成されるモデル計画書の位置づけ等について政府の認識を問いました。

離婚後の子の養育計画に関する調査研究業務の請負について既に入札が行われています。モデル養育計画書の策定をする上で、中立性や客観性が担保されることが重要です。今回の調査研究を行うなかで、中立性等を担保するために中間的な成果を関係者にフィードバックするよう提言し、法務大臣の認識を問いました。
大臣は「初めての取組みであり、早い段階でフィードバックを行い反応や示唆を受けながら、進めて行くことが適切と考えている」と応じました。

裁判離婚の事由について消極的破綻主義から積極的破綻主義に変更すべきとの指摘があります。離婚訴訟は一方が望まなくても判決をもって強制的に離婚させる手続きである以上、離婚請求には相当の根拠が必要になります。裁判判決には有責主義(離婚請求され側に有責性がある場合にのみ離婚を認める)と破綻主義(婚姻が既に破綻している)の二つがあります。現在の裁判では破綻主義が採用されている一方、責任がある有責者からの離婚請求については、道義的、倫理的な問題から認めない消極的破綻主義が運用されています。現在徐々にではありますが、消極的破綻主義から積極的破綻主義へ移りつつあります。有責主義が重視されることにより相手の責任を裁判で争うこととなり、有責主義により離婚した夫婦がその後の子の養育・監護の責任を仲良く取組むことができるのかとの指摘があります。離婚後の共同親権との整合性を取る上で、今回の共同親権の導入を踏まえて子の最善の利益を優先することに着眼して破綻主義の考え方に変更していくべきと提言しました。

子の最善の利益を公益上の極めて大切な権利に位置付けて、両親での取決めをちゃんと守らせるためにも裁判所の裁定を侵害するような行為に対しては公法上の制裁規定を適用するべきと指摘し、大臣の認識を問いました。
大臣は「非常に本質的な問題を視野に捉えた重要な枠組みの提示であり、我々も法的な枠組みとして捉えて子の幸せのために研究をしたい」と応じました。