仲裁法の一部改正法案等について質疑~参議院法務委員会~
4月20日、仲裁法の一部改正、条約実施法の制定およびADR法の一部改正について斎藤法務大臣の認識を問いました。

本法案は、企業などの国際的な紛争を調停や仲裁といった裁判に頼らない手段の利用を促すとともに、仲裁と調停の一体的な強化を図るための法案です。
仲裁法の改正は、裁判外紛争解決手続きの適正かつ実効的な解決を図る上で、仲裁廷による仲裁判断までの間に暫定保全措置命令に基づく強制執行を可能とし、最新の国際水準の法整備の推進によりADR(裁判外紛争手続)の利活用促進を図ること。
条約実施法(新法)は、調停に関するシンガポール条約の発効を受けて、日本も条約の締結を予定していることから条約実施のための新法を制定するものであり、裁判所が和解合意に基づく強制執行を決定する制度の創設、国際和解合意や個人紛争以外の商事紛争に係る和解合意に適用されることとなり、条約実施の実効性確保を図ること。
ADR法の改正案は、日本がアジアにおけるビジネス拠点となるためには司法基盤整備が必要との認識のもと、これまで日本では普及が遅れていたADRの整備を行い、国際水準の法整備を行うことで日本企業の海外展開や外資の誘致に寄与することを図るとされています。

この法案の必要性を理解した上で、仲裁の判断(結論)が出た場合、同様の事例を裁判にかけ直すことは出来ない旨、規定されていることから、ADRを利用するにあたっては当事者間の事前合意が重要になります。従って仲裁・ADRと裁判の関係、また民間型ADRと民事調停等の司法型ADR及び行政型ADRの関係について、明示的な規定が必要と指摘するとともに、ADR の普及啓発のため、法テラスと同様にテレビ、ラジオ、新聞などを通じた広報活動を実施するほか、インターネット上の情報提供、裁判所におけるパンフレットの配布など、広報を一層強化すべきと訴え、大臣の認識を問いました。

大臣は、国際仲裁等を利用することのメリットや裁判との違いについて解説したパンフレットを作成し配布をしているが、本法案により創設された制度が適切に実施・運用されることで紛争の実情に即した迅速、適正かつ実効的な解決が図られるよう引き続き効果的な情報提供をしてまいる。またADRが国民にとって紛争解決の選択肢として広く利用していただけるよう必要な取り組みを積極的に進めていきたいと応じました。

※本法案は4月21日、国民民主党をはじめ賛成多数で成立しました。