出入国管理法等の一部改正案に対して代表質問 ~参議員 本会議~
5月12日、参議院本会議で出入国管理法等の一部改正する法律案(入管法改正案)に対して国民民主党新緑風会を代表して斎藤法務大臣に質疑を行いました。
出入国管理法は外国人の日本への入国及び出国と在留管理について定めた法律です。
今回の主な改正案は ①難民申請中は強制送還が停止される規定について、申請を繰り返すことで送還を逃れようとするケースがあるとして、3回目の申請以降は、原則適用しないこと。 ②退去するまでの間、施設に収容するとしていた原則を改め、入管が認めた「監理人」と呼ばれる支援者らのもとで生活することを認めること。 ③難民の認定基準を満たさないケースでも、紛争から逃れてきた人などを難民に準じて保護の対象とする新たな制度の創設。 ④収容の長期化を可能な限り避けるため、収容施設に入所している者に対して収容を続けるべきか3か月ごとに検討することなどとなっています。
日本の出入国管理については、国連からも違法な拘束や不当な扱いが指摘されています。保護すべき方を保護し、送還すべき方は送還する適正な出入国管理を実現するため幅広い視点から指摘をしました。
主な質疑等の内容は次のとおりです。

〇不法在留者や送還忌避者の問題解決のためには入国の在り方を見直すべき
今回の入管法改正案は、出国管理に主眼を置いた内容となっていますが、そもそも不法在留者や送還忌避者の問題は外国人労働者の受け入れ政策に起因するものが多く含まれています。従って入国管理の在り方と併せて議論がなされるべきと指摘。

〇出入国管理の審査プロセスは透明化が重要
現在の出入国在留管理行政に係る根本的な問題は、不法在留者の摘発から出入国管理施設への収容、審査、そして国外退去決定まで、警察、検察、司法の役割が全て出入国管理庁の職員の手で行われています。強制収容を執行するにあたっても、裁判所令状も必要ありません。しかも、その審査プロセスはブラックボックスで、その判断は国の出先機関である地方入国管理局長の権限に委ねられています。出入国管理行政を適正化するためには、この審査プロセスを透明化することこそが何より重要であることを指摘。

〇送還停止効の例外規定の審査に際して「相当な理由のある資料」とは
本改正案には、難民申請中は強制送還できない「送還停止効」に例外規定を設け、同一理由による3回目以降の申請者、3年以上の実刑前科者、テロリスト等を適用対象とする規定が盛り込まれています。また3回目以降の難民申請者についても難民認定すべき相当な理由の資料の提出ができない者は送還停止効の例外規定の適用対象となります。この相当な理由ある資料という極めて曖昧な文言を恣意的に解釈することで、本来庇護すべき者を確実に保護できなくなる可能性があることを指摘。

〇就労を目的とした難民申請の「誤用」「濫用」事案への認識は
近年、就労を目的とした難民申請の誤用、濫用が増加している旨の指摘があります。難民申請の誤用、濫用は決して容認できるものではありません。しかしながら、そのことをもって送還停止効の例外規定の適用を考える前に、なぜ就労を目的とした難民申請者が出るのかを考える必要があります。
こうした問題の背景には、外国人労働者の受け入れ問題と正面から向き合うことのないまま研修、実習目的で単純不熟練分野への外国人労働者の受け入れを拡大してきたことに原因があると考えられます。就労を目的とした難民申請の誤用、濫用事案が発生している理由をどのように捉えているのか問いました。

〇難民認定審査に係る出身国情報等の充実を図る具体的取組みとは
本改正案では、難民認定制度の運用の見直しの中で、難民該当性に関する規範的要素の明確化、難民の出身国情報の充実、難民調査官の調査能力の向上を挙げています。トルコ国籍を持つクルド人やミャンマーにおけるロヒンギャ、部族紛争から逃れてきたアフリカ系の難民認定審査を行う上でどのように出身国情報の充実を図るのか問いました。

〇出入国管理行政を適正・円滑に行うための人員体制の強化への認識は
在留外国人の更なる増加が見込まれるなか、適正・円滑な出入国管理行政を実現する上で、人員体制の強化を図るための取組みへの認識を問いました。