北朝鮮向け短波ラジオ「しおかぜ」の活動に関する課題を指摘~参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会~
12月4日、参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会で「北朝鮮向け短波ラジオ放送「しおかぜ」の活動に関する課題」について松野拉致問題担当大臣、上川外務大臣の認識を問いました。

現在、北朝鮮に拉致されている被害者の方へメッセージを送るため、特定失踪者問題調査会が短波ラジオを活用して「しおかぜ」の放送活動をしています。この活動に対し松野拉致問題担当大臣、上川外務大臣に評価と認識を問うと、両大臣ともに「北朝鮮域内への情報伝達手段が極めて限られているなか、拉致被害者等の日本人や北朝鮮市民・北朝鮮当局に対して日本側から政府や日本国民、国際社会からのメッセージを伝達する手段として北朝鮮向けラジオ放送は大きな効果を果たしている。これからも途切れることなくメッセージを伝達することが大事である」と前向きに語りました。
この答弁に対し、かつてイラク戦争の際にイラク在留の日本人の方が欧米の方と1か所にまとめて拘束されているときにイギリスBBC放送やボイス・オブ・アメリカは1時間ごとに拘束されている方へ元気づけのメッセージを発信していたのに対し、日本は相撲の取組結果や料理番組を放送していたことに対し、拘束されている日本人は惨めな思いとともに日本人に生まれてきてよかったのかと真剣に悩まれたという書籍があることを紹介した上で、拉致された方々へ「頑張れ必ず助けに行くから」とのメッセージを国として発信することが勇気づけになると強く訴えました。

また2006年に始まった「しおかぜ」の放送の周波数帯に対して北朝鮮による妨害電波が出され続けています。妨害を受けながらも放送を届けるため異なる周波数帯を使って同時刻に放送をしています。しかし、「しおかぜ」を送信している八俣送信所(茨城県古河市)に設置されている100キロワット短波送信機二機を2024年以降廃棄することになっています。その結果10か月の工事期間中、妨害対策の二重放送ができなくなる懸念があり政府の認識を問うと、松野大臣は「施設を所有・管理等を行っているKDDI、NHKと特定失踪者調査会の三者で協議を尽くし、「しおかぜ」の担う重要な役割を踏まえ拉致被害者等への情報発信に支障が生じないよう適切に対応してまいる」と応じました。
この答弁に対し、KDDIやNHK任せにするのではなく政府が主体的に働きかけを行うよう訴えました。また、ロシアによるウクライナ侵攻では最初にインターネット環境を遮断されました。その時にアナログ放送が唯一の通信手段になると考えるイギリスBBCやRti台湾国際放送は短波放送の強化を図っています。台湾では台湾海峡有事に備えて300キロワット送信機7機と100キロワット送信機4機の11機を持っています。一方、八俣送信所には現在300キロワット送信機5機と100キロワット送信機2機の7機があるものの2024年以降4機に削減する計画があり、安全保障上の観点から危機感をもって対応するよう訴えました。