厚生労働委員会での質疑
 5月11日、厚生労働委員会「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案」について2回目の質疑に立ちました。
 前回の質疑において、相模原市の障害者支援施設において発生した事件は、精神障害に起因するものではなく、法改正の前提となる立法事実が存在しないという法案の重大な瑕疵を指摘しました。その結果、法案概要資料が修正・削除され、法案審議は振り出しに戻ってしまい、大臣の趣旨説明からやり直すことになりました。今回はあらためてこの法案の問題の所在を整理する観点から質問しました。
 まず、この法案が紛糾してしまった最大の原因である「法案概要資料」の位置付け等について塩崎厚生労働大臣に確認し、審議が始まってから法案概要資料を変更することは国会審議を行う上での悪しき前例になることを指摘しました。
 次に、精神障害者支援調整機関、代表者会議や退院後の支援計画の問題点、自傷と他害の違いの捉え方などについて質し、本来条文に書き込むべき重要な項目が抜け落ちていることを指摘し、そのことにより現場での憶測による混乱や患者・家族の不安が生じていることについて大臣の認識を質しました。
 また、精神障害者による犯罪を立証する上での「有責性」の有無の判断をガイドラインでやろうとしていることの危うさ、精神科救急の定義付けがなされていないことの問題点、精神障害者の「重度かつ慢性」の判断基準が適正であるかなど、政府の見解を質しました。
医療の問題は国民の健康と福祉に資するものであれば、積極的に議論に係わることによりいいものを作り出すことが私たちの役割だと思っていますが、本法案はあまりにも多くの問題点抱えています。政府には、法案の修正に向けて再考を促したいと考えます。