参議院本会議での「代表質問」
 12月2日、参議院本会議において、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」について、民進党・新緑風会を代表して安倍総理および塩崎厚生労働大臣に対し、「代表質問」を行いました。
日本経済の6割は内需で支えられており、安定した社会保障を構築して「国民の将来不安を取り除く」ことが景気回復の早道であることを指摘し、この観点から質問をさせていただきました。
 今回の法案の趣旨は、物価や賃金が低下した場合の年金額の減額調整を強化し、将来世代の給付を維持するためだと政府は主張しています。確かに現受給者の年金額を早期に抑制することにより、将来世代の給付減を抑制することができます。しかし、そもそも国民年金の平均受給額は月5万4千円に過ぎず、この水準が更に下がることになれば制度としての財源は確保できたとしても、老後の生活を支える年金としての役割を果たすことができません。そこで、財源論だけで年金額をカットしてしまうことにより、年金が本来持つ「最低保障機能」が維持できるのか、将来世代の年金額が増えるといった説明により誤解を与えていないかの2点について、安倍総理の認識を伺いました。
続いて、塩崎厚労大臣に対し、今後100年間賃金が上昇し続けることを前提とした試算の妥当性についての答弁と、日本経済の賃金動向の実態に即した将来試算の開示を求めましました。
 更に、安倍総理に対して「年金生活者支援給付金」は社会保障と税の一体改革関連法案として成立した消費税引き上げに伴う緩和措置であったものが何故立法趣旨がすり替わってしまったのか、ならば今回の法改正に併せて支給を始めるべきでないか。2014年10月にGPIFの運用方針の見直しについて、他国に例のない年金積立金のハイ・リスク運用を行っていることについての認識と見直し後の運用実績の評価についての答弁を求めました。
安倍総理および塩崎厚労大臣からは、指摘事項に対する真摯な答弁はなく、従来からの繰り返しの説明に終始しており、とても納得できる内容ではありませんでした。
 また、この法案には、本年10月から実施されている短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大を、500人未満の企業でも労使合意に基づき適用拡大ができるようにする改正も含まれています。10月から施行された適用拡大では、企業が短時間への契約変更を誘導する、会社分割をして従業員規模を500人未満にするなど、保険料負担増を避けるための適用逃れが起きています。また、自発的・非自発的に労働時間を調整して適用対象から外れた短時間労働者も多くおられます。このことにより、人口減少社会において結果として貴重な労働力を失ったことは、社会的には大きな損失と言えます。
 これも、財政面から年金制度を維持する議論のみに終始し、社会保障全体を見て制度改革を進めていないことが原因です。税制、社会保障、雇用制度、人事制度等を一体として改革し、就労調整を起こさず社会保障の適用を拡大する仕組みが必要です。
 引き続き、厚生労働委員会に舞台を移し、年金制度の抜本的な改革について政府と議論してまいります。