外国人育成就労機構の在り方について大臣の認識を問う(出入国管理法および技能実習法改正案)~参議院法務委員会~
6月11日、法務委員会で外国人育成就労機構の在り方およびワンストップで育成就労者の相談等に対応できる組織体制づくりについて、法務大臣の認識を問いました。

本法案には、永住資格の取り消し要件に「故意に公租公課の支払いをしないこと」を追加することとされています。政府はこの解釈を「未払いを認識してあえて支払わない場合は故意に該当する」としています。政府がこの条文を改正案に盛り込んだ理由は、地方自治体からの聞き取りで、永住資格を取得するまでは納税等をしっかりするが、取得後は滞納する方がいるためとしています。もちろん、それが事実であれば永住資格の在り方を見直す必要性は理解しますが、すべてを包括して公租公課の支払いがなければ永住資格を取り消すというのは乱暴です。その上で、未払いを認識していても様々な事情で支払えない場合は「故意」に該当しないと理解してよいかと政府に質し、「故意」に該当しないことを確認しました。

育成就労産業分野の設定にあたっては、国内労働市場への影響を総合的に検討することが必要だと考えられます。政府はこの点について、国内労働市場への影響をどのように検討しているのか。また、設定にあたっては生産性の向上や国内人材の確保のための取り組みを既に十分行っているにもかかわらず、それでも人手不足の状況にある分野を設定することが重要と指摘し、大臣の認識を問いました。
大臣は、育成就労受入れ分野について「有識者、労使団体等で構成する新たな会議体を設け、生産性向上や国内人材確保のための取り組みが十分行われているかなどについても確認の上、議論・検討がなされ、その意見を踏まえて最終的に政府が決定する」と答弁しました。
この答弁に対し、育成就労の設定産業分野については、スキルアップによって自動的に日本人との同一労働同一賃金が実現することで適正な運用につながると指摘し、新たな会議体の検討俎上に上げるよう提言しました。

外国人育成就労機構については、今後外国人労働者の増加が見込まれる中、適正な業務運営のために、職員の人材育成を含めた十分な体制が必要です。政府が具体的にどのような人材育成プログラムや体制整備を計画しているのか、大臣に問いました。
大臣は「法案成立の暁には真っ先に機構に飛び込んでいき、トップと二人で話を詰め、2か月程度かけて、きっちりとした運営方法・ガバナンス・職員研修・増員の必要性についてしっかりと詰めた上で、大臣直結で対応する」と応じました。
この答弁に対し、今後100万人に達しようとする育成就労の外国人が入ってくると考えると、外国人育成就労機構だけで対応するのは物理的に限界があることから、ハローワークなどの様々な組織や窓口を活用することで育成就労者の相談対応が可能となる。従って、省庁横断的な対応により、ワンストップで様々なミッションに対応できる枠組み・組織作りを検討するよう提言しました。