子どもの利益を最優先に議論すべき(共同親権および法定養育費等の導入に向けた民法改正案)~参議院法務委員会~
4月25日、参議院法務委員会で4月19日の本会議に引き続き離婚後の共同親権や法定養育費の導入などを含む民法改正法案に対して、子の利益についての考え方などを小泉法務大臣に問いました。

改めて「子の利益は親権よりも優先されるのか」を法務大臣に問い「子どもの養育に関する監護の問題についても子の利益を優先する。子の利益は親権の行使、親権者の定め等においても最も重要かつ優先して考慮されるべき要素である」との法的解釈を確認し、本来議論されるべきは子に対する義務をいかに離婚後の親が負うのか、そうした観点から今回の共同親権の導入について議論すべきと指摘。子の利益の要件をガイドラインなどに明文化することにより、司法の判断を含め子の利益を判断する際に誤解を生じさせることなく、親である当事者双方の納得感を高めることができると訴えました。
フランスでは家事事件裁判官が暴力の有無等について認定した上で保護命令を発し、保護命令に従わなければ拘禁刑や罰金刑を課すことで保護命令の実効性を担保する法整備がされているとともに、協議して成立した申し合わせ事項の確実な遂行のための取り組みがされています。日本においても養育費の支払いなどに関する裁判所の決定に従わない場合は、罰則規定を設けることを検討すべきと指摘。あわせて、共同親権を導入している欧米においては、国がDV被害者の命・安全を守るために相当な取り組みがされていることに比べ、日本においては民間団体がDVシェルターを運営し、それを国が支援するという極めて脆弱な体制でしかないことから、海外の先進事例を検証し共同親権の導入により生じるかもしれないリスクに対して法施行までに準備を整えるよう訴えました。
その上で、日本は離婚時の養育費と面会交流の取り決め率が極めて低水準にとどまっていることに対し、確実に養育費と面会交流の取り決めを実施させるためには何が必要と考えるか、法務大臣の認識を問いました。
大臣は「養育費の確実な履行また親子交流の適切な実行が中心的な課題であるという認識は関係者では深まっているが、国民レベルで見ると、まだまだ子どもの利益から考えてみようという姿勢なり価値観なりの意識が十分に広がっていないと思う」「先入観を持たずに履行率を上げるにはどうすればいいのか、柔軟かつ実践的なアプローチと、子どもを一番に考える社会をつくりましょうと、そのための法律なんですと踏み込み、社会の在り方がこの法律を包み込んでもらうことも必要だと思う。制度だけで動かせるわけではないので、そういう観点も念頭に置いて検討したい」と応じました。