少年法等の一部を改正する法律案に対し質疑~法務委員会~
5月13日、法務委員会で少年法等の一部を改正する法律案に対し質疑を行う一方、名古屋出入国在留管理局内で起きたスリランカ人死亡事案について、出入国在留管理庁(入管庁)の中間報告と毎日新聞の記事(5/13朝刊)で診療記録の内容に相違があることを指摘し、上川法務大臣の認識等を質しました。
冒頭、スリランカ人の被収容者の死亡事案に関し入管庁の中間報告書では、胃カメラの検査を行ったときに食道、胃、十二指腸に潰瘍等の異常は見当たらなかったと明示されている。これに対し、毎日新聞の記事は、胃カメラでは胃に部分的にただれが目立つがという記載があり、見当たらなかったというのは、明らかに虚偽になることを指摘しました。
また、中間報告書には点滴や入院の指示がなされたこともなかったとされているが、記事は診療記録に「これだけ嘔吐があれば出血ある。GERD(胃食道逆流症)であろう」「内服できないのであれば点滴、入院(入院は状況的に無理でしょう)」と記載されている。さらに、診療記録には、胃カメラも行ったが、胃の部分にただれは目立つが食道や腸には異常がなかったと書かれている。しかし中間報告書には、指示がなされていなかった、なされたこともなかったと書かれている。この記事が事実であれば明らかに外部の医師から指摘されている事実があると指摘した上で、我々は、役所が提出してきた様々な法案、法律改正の資料などは正しいことを前提に質疑している。その前提となる資料自体に虚偽やごまかしが生じるようなことがあったら法案審議はできない。加えて、この問題を生じさせた当事者である入管庁が調査を行うということ自体に矛盾があり、有識者を含む第三者で、中立的な立場の方が、なぜこの問題が起こったのか正確な情報に基づいて議論が行われないと、この問題は解決されないことを強く訴えました。なお真偽を確認するため、山本法務委員長に診療情報提供書が委員会に提出されるよう取り計らいを求めました。

少年法等の改正案に関しては、被害者の保護・救済をどう図るのかを前提として、加害少年、非行少年が更生していく、さらには、贖罪と賠償責任を果たしていく上では、就業支援も含めた社会的支援面の取組みをしっかりと前に進めていく、生活の基盤をきちっとつくって働いて責任を果たし、賠償責任も同時に果たしていくことが重要であることを指摘した上で、現状の更生を促す上での就業支援に向けた取組みの状況および少年の就業支援を今後より充実させる必要性について法務省の認識を問いました。また、出所者の就労先の確保については、コロナ禍で厳しい状況に置かれている現状、協力雇用主に積極的に働きかけが必要であることを指摘し、法務省の姿勢を問いました。
上川大臣は「協力雇用主への刑務所出所者等就労奨励金支給制度に加えて、少年院出院者等の就職活動、また職場定着のため、きめ細かな寄り添い型の支援を行う更生保護就労支援事業を実施しているところである。この充実と事業運営を安定的に取り組んでいくことができるよう、しっかりと成果を上げていく」またコロナ禍の就労先確保の取組みについては「特別にしっかりと取り組んでいく必要があると認識している」と応じました。