本会議で出入国管理法および技能実習法改正案へ賛成討論~参議院本会議~
6月14日、参議院本会議で出入国管理法および技能実習法改正案に対して、賛成の立場で次の7項目について法施行までに整備等を求める討論を行いました。
1.永住資格の取り消し規定について
永住資格の取り消し規定を巡る改正法案に「故意に公租公課の支払いをしないこと」を理由とする条項が追加され、議論が巻き起こりました。法案の条文は、税金や保険料のうっかり滞納でも永住資格が取り消される可能性があるように読めるため、永住資格者の不安と懸念が広がっています。特に、永住資格の取得に10年もかかることを考えると、この取り消し規定は不合理であり、長年社会に貢献してきた永住者への配慮が欠けています。
法案審議では、「故意」という言葉の解釈が問題となり、刑法と民法で異なる意味を持つことが指摘されました。最終的に、過失や支払い能力の欠如による未払いは永住資格の取り消し対象外であること、特別永住資格は法改正の対象外であること、過失による交通違反などは対象外であることが法務大臣によって確認されました。今後、政府には法律の恣意的解釈が生じないよう、詳細な運用指針やガイドラインの整備を求めました。
2.景気変動リスクを踏まえた国内労働市場との調整について
外国人労働者の受け入れ拡大には、景気変動のリスクを考慮し、国内労働市場との調整が必要です。将来的に景気が悪化すれば、日本人労働者との雇用競争が発生する可能性もあります。欧米諸国では景気後退時に移民排斥運動が起こる例もあり、中長期的な労働力需要に対応するために、国内の産業別労働市場との調整が非常に重要です。このためには、技能実習制度における分野別協議会や地域協議会の機能強化と、意思決定プロセスの透明化を図るよう求めました。
3.特定技能産業分野の選定プロセスの透明化について
特定技能産業分野の選定プロセスの透明化も必要です。これまでの特定技能制度では、今後の国内労働市場に大きな影響を与える可能性がありながら、特定技能対象分野の選定プロセスが透明性に欠けていました。今回の法改正により新たに特定技能産業分野を選定する際は、場当たり的な対策ではなく、有識者や労使で構成される会議体を設置し、公開の場で議論することが重要です。これにより選定プロセスを透明化し、公正な判断を促進するよう求めました。
4.労働基準関係法令違反解消のための具体的な対策
技能実習実施者による労働基準関係法令違反への対処が急務です。労働基準法や最低賃金法などの法令は原則として適用されますが、実習実施者による違反があとを絶ちません。法案審議では、法務大臣から「国籍に関係なく、同一労働・同一賃金の原則を守る」という明確な答弁がありましたが、具体的な手法は今後検討されることになります。したがって、特に労働安全基準の違反、長時間労働、割増賃金の未払いなど、労働基準関係法令違反が多発している問題に対する具体的な対策が、法施行前に講じられるよう求めました。
5.一定の日本語能力を受け入れの要件にすることについて
日本語教育のあり方についても今後速やかに検討する必要があります。言語教育の不足は、雇用の機会を制限します。言葉の壁がある在留外国人は、労働市場から排除されやすく、低賃金で不安定な就労を余儀なくされることで新たな貧困層が生まれます。貧困に陥った在留外国人は、社会保障制度への依存度が高まりますが、これが自国民であれば当然の権利とされるものが、外国人に対しては寄生者とみなされることがあります。このため、西欧諸国では移民言語政策が、言語の習得を強調する方向に変化しています。
日本でも労働移民を受け入れる場合、社会の安定と共生を図るためには、国費を投じてでも日本語教育の水準を高める必要があります。政府には中長期的な視点から、速やかに日本語教育の改善を進めることが求めました。
6.1年を超えた転籍制限と労働基準関係法令との整合性
転籍制限は法文上、「当分の間、受入れ対象分野ごとに1年から2年までの範囲内で設定する」という極めて曖昧な表現であり、大きな論点となりました。しかし、法案審議では、「育成就労実施者による雇用契約違反が明らかになった場合は、例外なく転籍要件を満たす」という法務大臣の答弁があり、これにより育成就労実施者への配慮を理由とした転籍制限の懸念が軽減されました。ただし、1年を超える拘束は労働基準関係法令との整合性を欠いている点に変わりはありません。外国人労働者が「働き続けたい」と思える雇用・労働環境を整えることが育成就労実施者に求められており、関係省庁はその実現に向けて取り組みを進める必要があると指摘しました。
7.悪質な送出機関規制および借金問題の抜本解決に向けた取り組み姿勢
技能実習生が母国の送出機関に多額の借金をしている問題について、これまで日本政府の対応は、悪質ブローカーからの受入れ停止にとどまっています。最近の報告書や政府方針では、監理団体によるより質の高い送出機関の選定を目指し、手数料などの情報公開を求めていますが、手数料そのものの抜本的な見直しは行われていません。送出機関が徴収できる手数料の上限が定められているにも関わらず、上限を守らず実習生に負担を課す事例が多いのが現状です。この問題に対処するため、政府には悪質な送出機関の受け入れを完全に排除するための厳格な二国間協定を締結するよう求めました。
1.永住資格の取り消し規定について
永住資格の取り消し規定を巡る改正法案に「故意に公租公課の支払いをしないこと」を理由とする条項が追加され、議論が巻き起こりました。法案の条文は、税金や保険料のうっかり滞納でも永住資格が取り消される可能性があるように読めるため、永住資格者の不安と懸念が広がっています。特に、永住資格の取得に10年もかかることを考えると、この取り消し規定は不合理であり、長年社会に貢献してきた永住者への配慮が欠けています。
法案審議では、「故意」という言葉の解釈が問題となり、刑法と民法で異なる意味を持つことが指摘されました。最終的に、過失や支払い能力の欠如による未払いは永住資格の取り消し対象外であること、特別永住資格は法改正の対象外であること、過失による交通違反などは対象外であることが法務大臣によって確認されました。今後、政府には法律の恣意的解釈が生じないよう、詳細な運用指針やガイドラインの整備を求めました。
2.景気変動リスクを踏まえた国内労働市場との調整について
外国人労働者の受け入れ拡大には、景気変動のリスクを考慮し、国内労働市場との調整が必要です。将来的に景気が悪化すれば、日本人労働者との雇用競争が発生する可能性もあります。欧米諸国では景気後退時に移民排斥運動が起こる例もあり、中長期的な労働力需要に対応するために、国内の産業別労働市場との調整が非常に重要です。このためには、技能実習制度における分野別協議会や地域協議会の機能強化と、意思決定プロセスの透明化を図るよう求めました。
3.特定技能産業分野の選定プロセスの透明化について
特定技能産業分野の選定プロセスの透明化も必要です。これまでの特定技能制度では、今後の国内労働市場に大きな影響を与える可能性がありながら、特定技能対象分野の選定プロセスが透明性に欠けていました。今回の法改正により新たに特定技能産業分野を選定する際は、場当たり的な対策ではなく、有識者や労使で構成される会議体を設置し、公開の場で議論することが重要です。これにより選定プロセスを透明化し、公正な判断を促進するよう求めました。
4.労働基準関係法令違反解消のための具体的な対策
技能実習実施者による労働基準関係法令違反への対処が急務です。労働基準法や最低賃金法などの法令は原則として適用されますが、実習実施者による違反があとを絶ちません。法案審議では、法務大臣から「国籍に関係なく、同一労働・同一賃金の原則を守る」という明確な答弁がありましたが、具体的な手法は今後検討されることになります。したがって、特に労働安全基準の違反、長時間労働、割増賃金の未払いなど、労働基準関係法令違反が多発している問題に対する具体的な対策が、法施行前に講じられるよう求めました。
5.一定の日本語能力を受け入れの要件にすることについて
日本語教育のあり方についても今後速やかに検討する必要があります。言語教育の不足は、雇用の機会を制限します。言葉の壁がある在留外国人は、労働市場から排除されやすく、低賃金で不安定な就労を余儀なくされることで新たな貧困層が生まれます。貧困に陥った在留外国人は、社会保障制度への依存度が高まりますが、これが自国民であれば当然の権利とされるものが、外国人に対しては寄生者とみなされることがあります。このため、西欧諸国では移民言語政策が、言語の習得を強調する方向に変化しています。
日本でも労働移民を受け入れる場合、社会の安定と共生を図るためには、国費を投じてでも日本語教育の水準を高める必要があります。政府には中長期的な視点から、速やかに日本語教育の改善を進めることが求めました。
6.1年を超えた転籍制限と労働基準関係法令との整合性
転籍制限は法文上、「当分の間、受入れ対象分野ごとに1年から2年までの範囲内で設定する」という極めて曖昧な表現であり、大きな論点となりました。しかし、法案審議では、「育成就労実施者による雇用契約違反が明らかになった場合は、例外なく転籍要件を満たす」という法務大臣の答弁があり、これにより育成就労実施者への配慮を理由とした転籍制限の懸念が軽減されました。ただし、1年を超える拘束は労働基準関係法令との整合性を欠いている点に変わりはありません。外国人労働者が「働き続けたい」と思える雇用・労働環境を整えることが育成就労実施者に求められており、関係省庁はその実現に向けて取り組みを進める必要があると指摘しました。
7.悪質な送出機関規制および借金問題の抜本解決に向けた取り組み姿勢
技能実習生が母国の送出機関に多額の借金をしている問題について、これまで日本政府の対応は、悪質ブローカーからの受入れ停止にとどまっています。最近の報告書や政府方針では、監理団体によるより質の高い送出機関の選定を目指し、手数料などの情報公開を求めていますが、手数料そのものの抜本的な見直しは行われていません。送出機関が徴収できる手数料の上限が定められているにも関わらず、上限を守らず実習生に負担を課す事例が多いのが現状です。この問題に対処するため、政府には悪質な送出機関の受け入れを完全に排除するための厳格な二国間協定を締結するよう求めました。