在留特別許可の積極的要素に無国籍者を盛り込むよう求める(出入国管理法等改正案)~参議院法務委員会~
5月26日、参議院法務委員会で在留特別許可の判断において無国籍者を積極的要素として盛り込むことなどを訴え齋藤法務大臣の認識を問いました。

衆議院法委員会の4月19日の質疑で齋藤法務大臣は、三審制で行われる退去強制手続について、容疑者を含む関係者から必要な供述を得え、必要に応じて送還先の国内情勢等に係る情報を収集するなどした上で、最終的には退去強制令書を発付する主任審査官が適切かつ慎重に判断していると答弁されています。それぞれの審査においては入国審査官、特別審理官、主任審査官が関わっていますが、難民該当性を判断するための専門的知識を有しているわけではありません。強制退去手続に当たっては、難民調査官のような専門知識を有した者による面接を明文化すべきと指摘。また、今後に向けて専門性の高い職員を育てて、その方々が審査に携われる体制をつくり、審査の質を上げることが重要であると提言しました。

また、私の5月18日の質疑で、退去強制命令に違反した者に罰則を科す対象から無国籍者は免除すべきと指摘した際に、大臣から無国籍者は除外の対象とはしないが、退去強制令書が発布された者は在留特別許可の判断を一度経ていることになるので、本来罰則を科すべきでない者は、法務大臣の裁量により個別事案ごとに例外的、恩恵的になされるものであり、本法案においても在留特別許可制度の基本的判断枠組みは維持されていると答弁されています。また、新しい在留特別許可のガイドラインでは、認知が事実に反することが明らかになって、帰責性がなく無国籍になった者は積極事情として評価していく予定であるとされています。無国籍者であれば一部の例外を除いて地球上のどこにも適法に住めない方となります。そうした方に対しては在留特別許可の判断の積極的な要素として盛り込むことが適当であることを訴え、大臣の認識を問いました。
大臣は、本法案では在留特別許可の判断の透明性を高めるために新たに考慮事情を法律で明示することとしている。例えば親や子供の存在を理由として在留を希望する場合などには、法律で明示された考慮事情のうち、家族関係等として考慮されると考えると応じました。

出入国管理庁の中に出身国情報を収集する5人体制の専従職員が配置されました。この専従職員の配置により、これまで蓄積した情報が最新であるかの確認、情勢の変化に応じて迅速に情報収集をすること、地方局からの照会により個別の事案に即したより詳細な情報を収集すること等が可能となりました。一方で、実際に難民認定の審査に携わっている地方の担当職員のスキルや問題意識によって、出身国情報にアクセスする必要性の認識に差異が生じることが懸念されます。現場職員が出身国情報をしっかりと把握した上で、難民該当性の審査を行うことが重要です。そのためには、出身国情報をタイムリーに共有できるものをつくり、客観的に分かる状態にしておくことが難民認定の手続の透明性を向上させる上で極めて有効な手段となり得ることを指摘し、大臣の認識を問いました。
大臣は、現在は個別の案件に最新情報がうまく差し込めるような仕組みになっていないので、その実を伴うように努力していきたいと応じました。