被害者のプライバシー保護を求める~少年法等の一部を改正する法律案 法務委員会~
5月11日、法務委員会で少年法等の一部を改正する法律案に対して被害者のプライバシー保護などを求め質疑を行いました。

冒頭、改正案に反対派の方々は、少年法がこれまで機能してきている、 有効に機能してきているということをもって法改正することの立法事実について疑義を唱えているが、成年年齢が18歳に引き下げられたこと自体が立法事実であり、そこに尽きると理解している。この法改正に伴って新法が適正に運用されるのか、被害者、加害者双方、関係者にとって適正に運用される法としてどうこれから見直していくのか、変えていくのかということも建設的に議論をしなければならないことを指摘しました。
あわせて加害者側から被害者側への謝罪や損害賠償等が、されないまま放置される事案が散見される。被害者に対する補償が十分にされないことが、被害者と加害者の均衡の観点から加害少年に対する責任を追及する姿勢につながっているとも考えられる。従って賠償責任を果たすことが前提の上での更生でないと筋が通らないと思っている。この賠償等の枠組みについても今後どう見直していくのかが非常に大きな論点になることを指摘しました。

質疑では、2000年以降に少年事件が顕著に減少している要因について法務省が把握していないことに対し、事実関係をきちんと精査、把握した上で、客観的事実に基づいて、どこに成人年齢の線を引くのかを議論しなければいけない。今回の年齢引き下げに当たってのエビデンスが非常に薄い。今後これまでの一連の法改正などが少年犯罪の動向、抑止効果、更生等に効果を発揮しているのかということを含め分析するべきであると指摘し認識を問いました。
政府参考人から「本改正案には附則に5年後の検討条項を設けており、検討をするに当たっては本改正法の運用状況について十分に把握した上で検討を行う」と応じました

また、少年事件における報道の在り方が全般的に加害者のプライバシー保護に偏っており、社会一般的な常識として加害者のプライバシーをどう守るのかとの前提に被害者のプライバシーがどう守られるのかがなければならないと指摘し、法務大臣として被害者のプライバシーを守ることに対しての認識を問いました。
上川大臣は「まさに、プライバシーの問題、人権の保護という観点においても、今のままで立ち止まることなく、加害者とのバランスの中でという議論も含めて、これからもこの問題についてはしっかりと対応すべき事柄である。 基本計画においても、運用のレベルにおいても、被害者の人権をしっかり守っていく、権利利益の保全を図るという視点からたゆまぬ改善をしてまいる」と応じました。