難民審査参与員等へ参考人質疑(出入国管理法等改正案)~参議院法務委員会~
5月25日、参議院法務委員会で、出入国管理法等改正案に関して改めて参考人の方より陳述をお聞きし、出入国管理庁からの出身国情報・供述調書の提供状況などついて伺いました。

(参考人)難民審査参与員 浅川晃広 氏
(参考人)全国難民弁護団連絡会議代表 渡邉彰吾 氏
(参考人)元仮放免者 マラザン 氏
(参考人)元福岡入国管理局長 公益財団法人国際人材協力機構理事 後閑厚志 氏

浅川参考人に、難民審査参与員が真摯に職務に携わっていることは何ら疑いをもってはいないものの、実際に危険が待ち受けている母国にいつ送還されるか分からない恐怖におびえながら日々暮らしている難民申請者が存在している理由を問いました。
参考人は、審査請求の段階で難民該当性がないと結論を出すということについて「本国に送還されても迫害を受けるおそれがないという前提で考えている」と語りました。

渡邉参考人ならびに浅川参考人に、難民審査参与員として仕事をされる中で審査に当たっての出身国情報および面接にかかる供述調書といった一連の資料について、出入国管理庁からの提供状況を問いました。
渡邉参考人は、出入国管理庁において不認定となった案件に対し、どのような出身国情報に基づき判断したのか聞くが、総合的に判断したとの回答であり、どのような出身国情を使ったのかは見ることはでいない。私が非常に問題と思うのは出身国情報が重要だということが共通の認識でありながら、出身国情報を共有化する努力がされていないとことだと語りました。
浅川参考人は、調書は一件ごとに一ファイルになっており末尾に日本語に翻訳された出身国情報の提供を受けている。ただし、出身国情報を詳細に検討する案件はあまりない。本人のインタビューとか供述調書を見ると、例えば、自分の地域からすぐに別の国内に行けばいいのに、日本に来るまでずっといましたということであれば、外形的に見て迫害のそれはないと判断する。全体的な出身国情報に当てはめなくても、申請者の個別事情だけで判断できる案件の方が多かったと語りました。

後閑参考人に、難民認定の手続の中で正当性を担保すること、また手続に対して不服申し立てが起こった際に納得性を高めるため、面接時の立会人(同伴者)を認めることや海外で行っている録音・録画を実施すべきとの指摘に対する認識を問いました。
参考人は、確かに一つの考え方として証拠を残すことは有効な手段と認識する。ただし、一次の時は難しいと思うが、二次においては例えば保証人が理解できるので、録画までは必要かなと思うと述べました。