保護観察率の低下と更生保護の財政基盤を問う~参議院法務委員会~
12月2日、参議院法務委員会において、更生保護制度の充実を図るための保護司法等の一部を改正する法律案に関連し、保護観察率の低下の理由や、更生保護関連予算の執行状況について、最高裁判所および政府の認識を問いました。
今回の改正案は、保護司が安全に活動できる環境を整え、今後の担い手を確保することを目的としています。保護司とは、社会復帰を目指す人に寄り添い、生活上の助言や支援を行う非常勤の国家公務員で、全国で約4万7千人が地域に根ざしたボランティアとして活動しています。再犯防止に欠かせない役割を担う一方で、平均年齢が65歳を超えるなど高齢化が進み、人材確保が大きな課題となっています。また、令和6年には大津市で保護司が殺害される事件も起き、安全確保の必要性が社会的に強く認識されました。
こうした状況を踏まえ、改正案では保護司の任期を2年から3年に延ばして制度の安定性を高めるとともに、委嘱条件を見直して多様な人材が参加しやすい仕組みに改めています。加えて、必要に応じて担当区域外でも活動できるよう柔軟性を持たせ、安全対策の強化や研修機会の充実を図ることで、地域で息の長い支援を継続できる体制づくりを進める内容となっています。
質疑では、保護観察が付される割合、いわゆる保護観察率が令和5年に5.97%と低下し続けている点を取り上げました。執行猶予付の判決を受けた2万6千人余りのうち、保護観察となったのはわずか1,536人であり、窃盗や傷害、覚醒剤事件などで特に低下が目立っています。刑事事件の件数が減る一方で再犯率は49.1%と過去最高に達している現状を踏まえると、保護観察が十分に活用されていないことで、本来であれば防げたはずの犯罪を見逃してしまっているのではないかという懸念があります。
保護観察率の低下理由を最高裁に問いましたが、「確たる理由は把握していない」との答弁にとどまり、個別の判断に委ねるだけでは問題の本質に迫れないと指摘し、犯罪心理や再犯率など客観的なデータを判断に活かすべきと訴えました。また、保護観察所と裁判所の連携が十分か、保護司不足や予算の制約が間接的に判断へ影響していないかについても、検証の必要性を指摘しました。
さらに、更生保護を支える予算の問題を取り上げました。今年度、更生保護施設などへの委託費が不足し、10月には委託日数の短縮や委託件数の削減を求める事務連絡が全国に出される状況となりました。物価上昇により1人当たりの委託単価は上昇しているにもかかわらず、当初予算は前年度より減額されており、その矛盾が現場に深刻な影響を与えています。地域での生活再建を支える自立準備ホームなどでも必要な支援の継続が危ぶまれ、現場は強い不安を抱えています。
この状況に対し、補正予算で埋め合わせる対応を繰り返すのではなく、当初予算の段階で必要額を確実に確保すべきだと強く求めました。
本法案は12月3日、全会一致で成立しました。
今回の改正案は、保護司が安全に活動できる環境を整え、今後の担い手を確保することを目的としています。保護司とは、社会復帰を目指す人に寄り添い、生活上の助言や支援を行う非常勤の国家公務員で、全国で約4万7千人が地域に根ざしたボランティアとして活動しています。再犯防止に欠かせない役割を担う一方で、平均年齢が65歳を超えるなど高齢化が進み、人材確保が大きな課題となっています。また、令和6年には大津市で保護司が殺害される事件も起き、安全確保の必要性が社会的に強く認識されました。
こうした状況を踏まえ、改正案では保護司の任期を2年から3年に延ばして制度の安定性を高めるとともに、委嘱条件を見直して多様な人材が参加しやすい仕組みに改めています。加えて、必要に応じて担当区域外でも活動できるよう柔軟性を持たせ、安全対策の強化や研修機会の充実を図ることで、地域で息の長い支援を継続できる体制づくりを進める内容となっています。
質疑では、保護観察が付される割合、いわゆる保護観察率が令和5年に5.97%と低下し続けている点を取り上げました。執行猶予付の判決を受けた2万6千人余りのうち、保護観察となったのはわずか1,536人であり、窃盗や傷害、覚醒剤事件などで特に低下が目立っています。刑事事件の件数が減る一方で再犯率は49.1%と過去最高に達している現状を踏まえると、保護観察が十分に活用されていないことで、本来であれば防げたはずの犯罪を見逃してしまっているのではないかという懸念があります。
保護観察率の低下理由を最高裁に問いましたが、「確たる理由は把握していない」との答弁にとどまり、個別の判断に委ねるだけでは問題の本質に迫れないと指摘し、犯罪心理や再犯率など客観的なデータを判断に活かすべきと訴えました。また、保護観察所と裁判所の連携が十分か、保護司不足や予算の制約が間接的に判断へ影響していないかについても、検証の必要性を指摘しました。
さらに、更生保護を支える予算の問題を取り上げました。今年度、更生保護施設などへの委託費が不足し、10月には委託日数の短縮や委託件数の削減を求める事務連絡が全国に出される状況となりました。物価上昇により1人当たりの委託単価は上昇しているにもかかわらず、当初予算は前年度より減額されており、その矛盾が現場に深刻な影響を与えています。地域での生活再建を支える自立準備ホームなどでも必要な支援の継続が危ぶまれ、現場は強い不安を抱えています。
この状況に対し、補正予算で埋め合わせる対応を繰り返すのではなく、当初予算の段階で必要額を確実に確保すべきだと強く求めました。
本法案は12月3日、全会一致で成立しました。



