育成就労制度の実現へ向け 現行制度の改善を提言~参議院法務委員会~
11月27日、参議院法務委員会において、2027年4月に施行される「育成就労制度」への移行に向け、現行の技能実習制度が抱える課題について質疑を行いました。
制度移行の準備が進む一方で、現在の運用上の問題が依然として指摘されており、これらを改善しなければ新制度への円滑な移行は難しいと考えています。

【外国人技能実習機構(OTIT)の現状と課題について】
技能実習生がトラブルに巻き込まれて相談に訪れても、入管・自治体・労働局との連携が十分でないため、結果としてたらい回しになるケースがあります。相談から在留手続までを一体的に扱う「行政主導の一元窓口」の設置と、情報連携のDX化を急ぐべきと指摘し、平口法務大臣の認識を問いました。
大臣は、「引き続き技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図る観点から、適切に対応していきたい」と述べました。
技能実習機構の現在の法人全体の人員体制は、正規387名・非正規186名、計579名で運営されています。育成就労制度の本格施行に向け、今後さらに外国人労働者の受入れが拡大する可能性があることから、必要な人員の確保を今のうちから検討すべきと提言し、法務大臣の認識を問いました。
大臣は「十分な人員が確保されるよう努力したい」と答弁しました。
また、技能実習機構の存在自体を技能実習生が知らない例が多いことから、周知方法の改善も必要と提言するとともに、在留資格の更新等の手続が長期化し、その間に就労できない空白期間が生じて生活基盤が脅かされている問題について、前倒し申請の仕組みなど、空白期間を生じさせない制度設計の必要性を訴えました。

【日本語教育の充実について】
認定日本語教育機関は現在64機関、日本語教員は1万186人が登録されていますが、どれだけの生徒を受け入れられるのかというキャパシティの把握をしたうえで、日本語教育機関の認定を進めていくことが重要であると指摘しました。また、認定基準について、現場から「カリキュラムと実際に求められる日本語能力が必ずしも一致していない」との現場の声があることを伝え、実態に即した運用を求めました。
さらに、認定基準を検討する際には、カリキュラムの内容だけにとどまらず、例えば日本語能力試験N2の合格率や、卒業後に進学した大学からの教育評価、さらに卒業生の失踪者数といった実績面も踏まえ、教育機関の質を客観的に把握できる総合的な指標を導入すべきと提言しました。