裁判官の報酬及び検察官の俸給に関する法律を一部改正する法律案に対して質疑 ~法務委員会~
11月10日、法務委員会において「裁判官の報酬等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案」について法務大臣の認識を問いました。

冒頭、葉梨法務大臣が会合で自らの職務について「朝、死刑のはんこを押して、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職だ」との発言がメディアで報じられていることに対して、自らの発言について撤回し謝罪ということを繰り返し述べているが、今回の発言が法務及び司法行政の信頼をどれほど傷つけたのかを大臣自身が認識する必要がある。司法行政をこれからしっかりと取り組んでいくと発言をしているが、日頃から頭の中で考えているからこそ口に出てしまうと思う。真意とは違うとか誤解とかということでなく、不適切な発言であったことを率直に認めた上できちんと謝罪を国民の皆様に対して行うべきことを強く訴えました。

裁判官及び検察官のいわゆる給与法の一部を改正する法律案に対しては、公務員給与を引き上げることの議論を行うたびに必ず賃金水準の官民較差の問題が指摘されるが、現状の物価高等もあり賃上げ機運が高まっている局面に来ており、公務員の給料を引き上げることについて世論は前向きに捉えている。公務員の給料は、労働基本権の代償措置として人事勧告で賃金を決められることは一定のルールに基づくものであり法的な合理性はある。同時に公務員の給料が高いか安いかということについては客観的尺度がない。求められるのは給与に見合うだけの成果や期待的役割を果たしているかが問われるが、そのことの議論がこの間足りていないことを指摘しました。
その上で、賃金の官民較差の議論を行うときに一点注意をしなければいけないことは、産業の少ない地方に行けば行くほど公務員の給料が高いことがクローズアップされる状況が四半世紀続いている。地方では、公務員の給料が地方の中小企業の労働者の賃金の引き上げの指標に使われていることを理解しなければならない。岸田総理が日本の給料を引き上げていくことを一つの政策目標に掲げており方向性は歓迎すべきである。是非、賃金の考え方について政策転換して国民の所得を増やしていくという切り口からの議論を進めていくべきと訴え、大臣の認識を問いました。

大臣は、政府としては構造的な賃上げと企業の生産性の向上を掲げ、好循環を生み出し各種の施策を新たな資本主義の中で作っていくことは極めた大切だと思っている。総理は科学技術、スタートアップ企業、GX、DXの四つの方向性を掲げており、政府全体の取り組みに法務省として関わっていきたいと応じました。

【法案の概要】
一般の政府職員の給与改定に準じて、裁判官・検察官の報酬・俸給月額について改定を行うもの。
裁判官及び検察官の若年層を対象に400円~3,000円引き上げる内容。
特別給(ボーナス) 
・一般職相当は年間4.30月分→4.40月分(+0.10月分) 
・指定職相当は年間3.25月分→3.30月分(+0.05月分)