26年度診療報酬改定に向けた処遇改善を厚労省へ要請~UAゼンセンとともに~
11月25日、UAゼンセン総合サービス部門の皆様とともに厚生労働省を訪問し、2026年度診療報酬改定における処遇改善を求める要請書を仁木博文副大臣に提出するとともに、要請書を手交し、医療現場が直面する深刻な課題や、診療報酬改定による抜本的な対策の必要性について意見交換を行いました。

医療現場では、離職や採用難による人材不足が続き、物価・エネルギー価格の高騰が医療機関の経営を圧迫しています。ICUや高度医療機器の稼働に伴う光熱費は1~3割上昇し、医療材料費や委託費も増える一方、公定価格の診療報酬では十分な価格転嫁ができず、赤字経営に陥る医療機関が増えています。こうした構造的問題は賃金にも影響し、2024年度の医療業種の賃上げ率は2.12%と他産業より低く、生活のために副業を余儀なくされる医療従事者も増えています。
また、医療現場は医師・看護職員だけでなく、医療事務、医療クラーク、技術職、給食・清掃・運搬など多様な職種によって支えられています。しかし、2024年度に導入されたベースアップ評価料は対象が限られており、中小医療法人では対象外職種の処遇改善に対応できず、不公平感や軋轢が生じています。要請では、この対象拡大の必要性を強く訴えました。

私は、「著しい物価高騰は病院経営を圧迫している。公定価格であるがゆえに、物価上昇分を価格転嫁することが困難であり、救急外来など収益性は低いが国民の生命・身体に直結する医療の維持が危うくなる。本日は、現場で働く組合員の切実な声を共有するので、政策実現に生かしてほしい」と伝えたうえで、診療報酬の議論は最終的に「負担と給付」の関係に行きつくことを指摘し、「医療の必要財源を明確に示し、目的税で支えていくという発想の転換が必要であり、その方が国民の理解も得られる」と提言しました。

仁木副大臣からは、医療は公定価格で運営されるがゆえに物価やエネルギー高騰を価格転嫁できず、政治が責任をもって対応すべき分野だとの認識が示されました。近年の急速なコスト上昇や人材確保の厳しさを踏まえると、「環境変化を適切に反映した十分な水準の改定が必要」との考えが述べられました。また、コロナ禍で明らかになったように、医療は医師・看護師のみならず、医療事務や技術職、給食・清掃など多様な職種が一体となって支える社会インフラであることを踏まえ、全職種の処遇改善に取り組む姿勢が示されました。さらに、根拠に基づく政策立案(EBPM)を重視し、AIなどの新しいツールも活用しながら現場の実態を政策に反映していきたいとの意向が示されました。


≪要請項目≫
1.安定した医療提供体制を維持するために診療報酬の見直しと改善を図り、医療従事者が安心して働き続けることができるよう、更なる処遇改善に向けた診療報酬の改定を実施すること
2.ベースアップ評価料による処遇改善について、全ての医療従事者(事務職、給食関連職等)が対象となるように対象職種を拡充すること
3.雇用の確保が健全な病院経営の大前提であることから、高額化する物価やエネルギー価格への対応が不可欠となることから補助金の拡充を更に進めること